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平成の玉虫厨子

法隆寺に安置されている国宝『玉虫厨子』は飛鳥時代の約1200年前、推古天皇が朝夕拝まれる念持仏として造像されたと伝わっています。今では光そのものが失われつつある国宝『玉虫厨子』を現代に再現しようと、累計約4000人の職人が挑んだ作品です。製作は主に設計・宮大工・蒔絵・彫刻・錺金具の5つのカテゴリー から成り、2004〜2007年の約4年の歳月を経て完成しました。

製作においての難題点は、実物の国宝『玉虫厨子』の採寸が不可能だったため、設計図面はもちろん微妙な曲線をもつ屋根の反り、須弥座の反花・受花のカーブの彫刻などにおいて僅かな写真資料と観察に頼るしかなかった点、剥落した蒔絵部分の解読作業と錺金具の模様の決定までの過程、玉虫の羽を蒔絵に用いるにあたっての羽の処理や貼付技術の開拓、各職人の見解をまとめ各部門が連携して一つの作品造りを進めていく過程など様々な点が挙げられます。

玉虫厨子は今回新しく復刻版と平成版の2基新造されましたが、 復刻版は現在法隆寺に奉納され、毎年催される春と秋の秘宝展にて定期的に展示公開される予定です。 平成版は茶の湯の森 美術館にて常時公開しております。 復刻版は実物が忠実に再現されているのに対して平成版は蒔絵や錺金具の奧にも玉虫の羽が数多く使われ、高蒔絵技法もふんだんに用いられているため立体感があり、現代の最高技術が遺憾なく発揮されている点で豪華な印象が残ります。

作品名 「平成の玉虫厨子」
サイズ
  • 高さ(鴟尾上部まで) 231.2p
  • 巾×奥行(最大部分) 136.7×119.2p
素材
  • 本体/ヒノキ材
  • 屋根/ヒノキ材 彫刻
  • 受花・反花/クスノキ材 彫刻
  • 雲型肘木/ミズメ材 彫刻
  • 錺金具/銅板透かし彫りメッキ
  • 玉虫/東南アジア各国
製作年 2003〜2007年(約4年)
製作者代表
  • 製作指揮者/故 中田金太(高山)
  • 宮大工 八野 明(高山)
  • 宮大工 改田 剛(高山)
  • 蒔絵師 立野敏昭(輪島)
  • 塗師 坂本茂雄(輪島)
  • 彫師 山田耕健(石川)
  • 錺金具師 森本安之助(京都)
  • 累計4,000人

平成の玉虫厨子詳細

写真の各部分をクリックすると拡大画像が表示され、各部分ごと の解説がご覧いただけます。

平成の玉虫厨子 屋根部正面 屋根部側面 宮殿部正面扉 玉虫蒔絵部分 錺金具部分 壁画部分 受花・反花

当館にて平成の玉虫厨子展示公開中
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